9条連ニュース/155号 PEACE 


 沖縄からの発信 No.1
消せない記憶  軍隊は住民を守らなかった!

 

沖縄9条連   安次嶺 美代子 (あしみね みよこ)

                               りの結集!! 9.29県民大会
  
2007年9月29日、真夏を思わせたその日の「県民大会」は、民衆の、とりわけ沖縄戦を生き延びた人たちの胸裡に秘めていた怒りの結集となった。
 それもそのはず、文科省(政府)は今回の教科書歪曲で、沖縄戦体験者の、凄惨で屈辱に満ちたあの記憶を隠滅しようとしたからである。
 
 あまりに過酷なガマの体験

 人間の記憶がそう簡単に消されるはずはない。
  母や叔母たちからよく聞かされた話がある。
 戦時中、身を隠していたガマに日本兵が逃げ込んできた。彼らは住民が持っていた僅かな食糧を奪った。そのうちに一人の母親の抱いていた赤ん坊が泣 き出した。それに腹を立てた兵士がその赤ん坊を殺すよう命令。拒んでガマを出てもスパイ扱いされ殺される。銃剣を突きつけら れた母親は、咄嗟(とっさ)に足元の木の葉を拾い上げると赤ん坊に舐めさせた。今さっきまで塩を包んでいた葉っぱであった。だが、泣き止まない。母親は乳の出ない乳首を赤ん坊に吸わせると 、そのまま顔を胸に押しつけた。嗚咽がまるで子守歌のように聞こえたという。彼女は赤ん坊を抱きしめたまま上半身を前後に揺らし、あやし続けた。いつの間にか静かになった。戦後になって、なんとか生き延びたその女性は、間もなく気がふれた。
 証言者の存在を無視する政府

 こういう戦時の個別的体験は、数々の証言がありこの出来事が特異という訳でも ない。各地で起こった「集団自決」(強制集団死)についても多数の証言者がいる中で、敢えて日本軍の関与(強制 )は無かったのでは、と言い張る文科省(政府)の欺瞞(ぎまん)と驕(おご)りに憤りを覚える。     ところで、従来の教科書記述を変更するには、それなりの根拠が必要というもの。ところが、報道によると教科書審議会で学術的検討が加えられた経緯は無いという。結局、こういう流れを承知の上で、文科省がある意図を持って検定意見を付したことになる。つまり、はじめの「政治介入」がすでに行われたのである。
 県民大会実行委員会が大会決議を踏まえ、文科省や官邸への要請に出かけたのが10月15、16日である。残念ながら文科大臣や福田首相との面談は実現せず、官房副長官や文科省副大臣への要請で終わった。
 その時点でも渡海(とかい)文科大臣は、検定意見の撤回は検定制度への政治介入になり好ましいことではない、との発言を繰り返していた。「政治介入」などとよくも真顔で言えた ものである。
 教科書歪曲は戦争のできる国への地固め
 今度の検定問題から視えてくるのは、よく言われる「戦争のできる国」づくりへの地固めとしての、政府の動きである。
 99年以降、数多くの戦争法と呼ばれる法律が成立した。昨年は教育基本法が改悪、国民投票法も成立した。新教基法で愛国心が強調されるも、沖縄戦で「軍隊は住民を守らない」ことが証明された今、政府は教科書の書き換えで今までの軍隊のイメージを作り変えようと必死のようだ。
 政府が戦争の記憶を消そうとする時、それが新たな戦争の準備だと危惧したのが「9・29」だった。

 

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