9条連ニュース/110号 巻頭言

世界社会フォーラム2004に参加して
憲法9条は20世紀の世界が生み出した人間の英知
常石 敬一

9条連のワークショップ「憲法九条」の会場には「Crazy?(正気?)、A Dream?(夢では?)、or A Break through?(それとも大現実)」と書いた横断幕が置かれていた。これは日本で考えて作ったものだったが、 3時間のワークショップでの議論が終わった時、実感できるものとなった。

日本以外の参加者から、日本のような経済大国が憲法九条を持っているなんて!ということで、「日本には『平和』の伝統があるのか?」という質問が出た。僕は明治以降の歴史を考えればとてもそうはいえないと考えてはいたが、江戸期以前にまで話を広げればそう言えないこともないかもしれない。この質問は憲法九条を改めて、その生まれから考えるきっかけとなった。

そしてたどり着いた結論は、憲法九条は20世紀の世界が生み出した人間の英知であり、日本だけのものではない、ということだった。

その意味で憲法九条を変えることは、日本の国内問題にとどまらず、世界史的な裏切りとなるのではないか、と思い至った。

憲法九条は第二次世界大戦の悲惨な犠牲と直面した人間の理性が生み出したものだ。20世紀は戦争の世紀だったが、その頂点が第二次大戦だった。憲法九条はその戦争が生み出した犠牲から目をそらさず、それを繰り返させないためにはどうすればよいかと思案した結果生まれたものだ。戦争は 20世紀に入り、いわゆる「総力戦」となり、それ以前の日本であれば侍が、ヨーロッパでは騎士が戦闘を行い、農民その他は高みの見物というわけには行かなくなった。つまり、民衆が、戦いに参加することがない女性が、子供が戦争に巻き込まれ、殺されていく。

その際たるものが第二次大戦では原爆であり、21世紀にはアフガニスタンやイラクでの劣化ウラン弾だ。原爆の残虐性を理解しようとしない、無視しようとする国、米国が劣化ウラン弾を使用し続けている。日本の外務大臣は 1月17日、劣化ウラン弾は健康に害はないと発言している。日本政府は、広島・長崎を口にし、反核を言うがそれがポーズに過ぎないことをこの発言は示している。

こういう国にいると、憲法九条を守り、発展させることに大きな負担を時に感じる。しかし、今回のWSFのワークショップで、私たちがやっているのは人類史的課題の実験であり、この成功にこそ未来があることを実感して帰ってきた。

(つねいしけいいち 神奈川大学教授/9条連代表)

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第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
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