何としても廃案にしよう!
国民投票法は改憲の突破口
杉井 静子 (弁護士)
賛否を明言しない民主党 与党単独採決の危険性
安倍内閣と与党は、改憲のための手続法である国民投票法案を5月3日の憲法記念日までに成立させようとしています。与党と民主党は、昨年から共同修正案の提出のため、協議を続けてきて大筋で合意していますので、民主党が修正に応じれば、あっという間に成立しかねません。
しかし、同党が、現時点では賛否を明らかにしないため、与党単独採決の危険性も十分にあります。
法案は、単なる手続法ではなく、改憲の突破口です。
国民投票法が成立すると、3年後に施行になりますが、改憲原案を提案する憲法審査会は、次の国会から設置されます。与党は、「憲法審査会は3年間は改憲原案を提案することはできないから、改憲論議は始まらない」と説明します。
しかし、憲法審査会で、「調査」の名のもとに改憲論議が始まることは目に見えています。各政党の改憲案のすりあわせも始まるでしょう。
改憲についてものを言わせない仕組みの数々
国民投票法案には、与党案・民主党案ともに、改憲しやすくするための仕組みが幾つもあります。
その最大のものは、国民投票について、最低投票率の定めがないことです。投票率が40%台だった場合、有権者の20%台つまり、5人に一人の賛成で改憲が成立してしまうのです。
また法案では、約400万人の公務員と、約130万人の教育者について、地位を利用した「国民投票運動」が禁止されます。原案では、罰則付きでしたが、修正案では罰則は削られる方向です。
しかし、禁止規定で、懲戒処分にされる可能性もあり、なによりも、公務員・教育者を委縮させ、改憲についての自由な意見表明が制限されてしまいます。
改憲派に圧倒的に有利な宣伝活動
さらに、憲法改正広報協議会がつくられ、これが「公報」を作成し、各地で説明会等を行う権限を持ちます。協議会は、政党(会派)の議席数で、委員が割り当てられるので、改憲派が多数を占め、圧倒的に改憲に有利な宣伝が出来るしくみになっています。さらに有料CMは、投票日14日以内は禁止されるものの、原則は自由なので、金のある改憲派の宣伝が洪水のように流れることになってしまいます。
投票日までの期間が、60日以上180日以内と短いのも、国民に公平、公正な情報を与えずに早く賛成の結論を得たいという意図が見え見えです。
このように、改憲派に有利な仕組みの法案は、改憲手続きを厳格に定めている憲法に反します。主権者である国民をないがしろにするものです。何としても廃案にしましょう。(詳しくは、拙著『あなたと考える憲法・国民投票法』ケイアイ・メディア発行、を御参考にして下さい)
|