9条連ニュース/121号 リレートークNO.9

ファルージャから二つの報道
ダグラス=ラミス

一二月一〇日付の記事(AFP)によると、米海兵隊は寂れたファルージャの荒廃のなかを歩き回って、野良犬を撃ち殺している。戦争のためのセミオートマチック銃で、犬を殺しているという。記事によると、「死体の肉を食べて太り、狂犬病をもっている恐れがある」

狂犬病?

狂犬病は、そのウイルスをもっている動物にかまれて伝わる病気であり、腐肉を食べて伝わる病気ではない。攻撃後のファルージャの犬には、攻撃前の犬より狂犬病の恐れが大きくなった理由がない。米海兵隊が街をパトロールして、犬を殺す理由はなんだろう。

軍医はそうするように命令したかもしれないが、理由は医学的なものではない。米海兵隊にとって、「死体の肉を食べて太った」犬が町のなかを走り回っていること自体が耐えられないのだろう。我慢できないのだろう。撃ち殺すしかないのだろう。

古代ギリシアの劇作家ソフォクレスの悲劇『アンティゴネ』には、反逆者のポリュネイケスが殺された時、王様のクレオンは、その死体を土に埋めることを禁止する。その不自然な行為によって、町全体がのろわれた場になる。芝居のコーラスは歌う。

土に埋まっていない死体は町の外にあるだけではなく、みんなの飼い犬があそこへ行き、食べ、そしてまた家へ帰り、飼い主の足元で寝る。そのように、のろいの「汚染」はだれの家にも入ってくる、と。

ファルージャは米軍の犯罪によって(米軍にとっての)のろわれ町になっただろう。そののろいを象徴するのが、「太った犬」(本当は太っていないだろう。太ったように見えることもその恐怖症の一部なはずだ)。その犬に対する恐怖は、自分の犯罪に対する恐怖だ。見ていられないものだ。演劇では、クレソンは反省をし、死体を埋めに出かける。

ファルージャでは、米海兵隊は犬を撃ち殺している。

一二月五日付の記事(Bost on Globe)によると、米軍はファルージャで大きなジレンマに悩んでいる。ファルージャ戦に「勝って」町のほとんどを自分のものにしたが、その自分のものになった町は土地と破壊された建物だけで、人はいない。ファルージャの三〇〇、〇〇〇人は町の外にいる。ファルージャ戦の(建前)の目的の一つは、一月の選挙を実現することだが、ファルージャで選挙を実現するためには、その三〇〇、〇〇〇人に戻ってきてもらわなければいけない。しかし戻ってくれば、米軍占領に対する抵抗が復活する恐れがある。どうすればいいだろう。

米軍には解決案がある。町の外で受付センターを作り、DNA指紋とレティナスキャンによってそれぞれの住民のデータベースを作り、名札を作る。そして戻った住民を軍団に組織し、町を作り直してもらう。そういう計画だそうだ。

もちろんこの「インスタント全体主義計画」はできるものではない(DNA指紋などは、一日であきらめたそうだ)。米軍の力ではなく、精神的な不安定が伝わってくる。勝っても勝っても勝てない、これは悪夢のようだろう。ノイローゼの症状を見せ始めているのはおかしくない。

(ダグラス・ラミス 9条連代表)

戻る

 

 

 9条連ブックレット


「新聞報道に見る 沖縄の
米軍基地と住民」


「戦争のないもうひとつの
世界は可能か」



平和のために
−伊藤成彦講演から



「平和を育てよう」
−藤井治夫講演から



「第九条が輝く21世紀を」


「憲法9条ー護憲か廃憲か」



平和のために軍備と戦争の
構造を学ぶ
「世界を見つめる」

 9条連グッズ


9条連
“エコバッグ



タビックス

 
第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
1、日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。2 、前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。