9条連ニュース/122号 リレートークNO.10

世界社会フォーラム 憲法九条の世界化のために
常石 敬一

9条連は二〇〇五年ポルトアレグレでの第五回世界社会フォーラム(WSF)において「憲法九条」というタイトルでワークショップを開催した。

今回のワークショップも昨年のムンバイに引き続き「正気? 夢でしょ…、いやいや大現実」の横断幕を掲げた。これは暴力装置を必須の要件としている近代国家像に代わる、二一世紀の国の、あるいは国際社会のありようを提起するためだ。これをスローガンとして言えば、「憲法九条を国連憲章の第一条に」、となるだろうか。そしてこの実現こそが「もうひとつの世界」を求めるWSFの目標となるべきだ、という意気込みでワークショップに臨んだ。

ワークショップではどのようにしたら「憲法九条の世界化」が可能となるかについて率直な意見を求めた。しかし、実際に出された意見の多くは「もっと足元を見つめるべきでは」を示唆するものが圧倒的だった。

具体的には、ニュージーランドの方は「九条があるにもかかわらず日本の軍事費が世界第三位という高額なのはなぜか?」という疑問を投げかけた。フィリピンの方は「日本国内の米軍基地をどうとらえているのか」と質した。日本からの参加者の一人は「軍需産業をどう考えれば良いのか」と実例をあげて悩みを吐露した。

これらの問題について、今なぜ軍事費が高額で、米軍基地があり、そして身近なところで軍需産業が操業している理由について「説明」することは可能だ。しかし憲法九条との整合性、さらにはそれらについて今後どのように対応していくのかについて、方針を示すことはできなかった。方針を示すことは、九条連としての、会としての、運動方針・達成目標があると簡単だろう。しかしあまり厳格な方針や目標を掲げると、会の体質が硬直化する危険もあるだろう。

現在のわれわれの9条連には運動方針・達成目標はあるのだろうか。北海道から沖縄まで、各地の9条連のメンバーのお一人おひとりにはそれぞれの思いがあるだろう。全体として「九条を守ろう」という点で一致しているが、その先はばらばらだと判断している。「基地がなくなるといいよね」と言う人もいるだろう、他方で「軍需産業を一掃せよ」と考えている人もいるだろう。多くの人の立場はこの二つの考えの間のどこかにあるのではないだろうか。

僕自身は「護憲」あるいは「憲法九条を守れ」だけでは方針・目標とはなりえないと考えている。社会党は護憲の党としてやってきて、現在社民党となりジリ貧状態だ。「護憲」に関していえば、現在まだ憲法は改悪されておらず社民党は「勝っている」のだ、しかし党勢はジリ貧だ。それはあの党の「護憲」がお題目に過ぎないためで、その実現のための方策・行動・アイディアに欠けていたためだろう。

こうした教訓も踏まえ、9条連としては具体的な方針・目標と、それを実現するための方策や行動を、議論を積み上げて作っていくべき時期に来ているのではないか、と思っている。これが、今回のWSFでのワークショップでの議論を通じて、強く感じたことです。

(つねいし けいいち 9条連代表)

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