9条連ニュース/123号 リレートークNO.11

軍隊違法論に立つオーバービーさんの「米国憲法改正案」
伊藤 成彦

改憲論がかまびすしいなかで、狙いは第九条にあると言われています。しかしもっと正確に言えば、狙いは第二項の非武装条項です。第一項の戦争放棄条項は、第一次大戦以後の戦争違法化運動が生み出した「パリ不戦条約」(一九二八年)に発し、その概念は国連憲章の根幹をなし、今では多くの国の憲法に取り入れられています。実際には米国が、ベトナム戦争から現在のイラク侵略に至るまで、宣戦布告なき戦争を続けていますが、それにもかかわらず、戦争違法論は今や国際的常識なので、米国は戦争をする度に、その理由づけに苦慮しています。だから日本の改憲論者たちも、第一項をなくすとは言えません。

しかし、戦争を本当になくすためには、軍隊の違法化が必要です。そして第九条第二項は、まさにそれを宣言しています。だから「平和憲法」と呼ばれるのですが、改憲論者たちには、その第二項が邪魔なのです。何故か?

改憲論者たちは、「普通の国になるため」とか、「国家の体面を保つため」とかといった理屈を付けていますが、実際は自衛隊を正規の軍隊にして、米国の命ずるままに使えるようにするためです。つまり、この改憲策動の震源地はワシントンで、小泉首相の言動に明瞭に現れているように、歪んだ日米関係です。
 


 
だから私はあらゆる機会に、今こそ日米安保条約を廃して、真の日米友好関係をつくることこそが平和憲法を輝かせる道だ、と言ってきました。米国が平和憲法を受け入れれば、二一世紀は世界平和に向けて大きく変わる筈だからです。そう思っていたところ、米国の「九条の会」の設立者オーバービーさんから年賀状が届き、その中に、次のような「米国憲法改正案」が入っていました。オーバービーさんのこの提案を世界的に支持することこそが、世界平和への道だと思いますので、以下に全文を紹介します。

「アメリカ国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 紛争は人間の条件の一部であることを認識して、国内の紛争を国内法の支配の下で解決するように、国際的な法の支配の下で、非暴力の手段で国際紛争を解決するために、アメリカ合衆国は、今後は国際連合と世界法廷、その他同種の国際機関及びすべての諸国民に協力して行動する。アメリカ合衆国は、『法の支配』を好んで、『戦争の支配』との情事を放棄する。アメリカ合衆国憲法の条項中、修正された戦争放棄条項と矛盾する条項は、無効となる。議会は、この修正を有効ならしめるために、適切な法律を制定する権限を持つこととなる」。

この「米国憲法改正案」は、「平和を考える退役軍人の会」(Veterans for Peace Consideration)の二〇〇五年度総会に提出され、満場一致で採択されれば米国下院に陳情されるということです。この改正案が「退役軍人の会」総会で採択され、下院でも採決されるように、Charles Overbyさんに励ましのメール(overbycm@hotmail.com)を送りましょう

(いとう なりひこ 中央大学名誉教授、9条連代表)

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第9条 【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
1、日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。2 、前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。