憲法9条-世界へ未来へ 連絡会

2025年5月号

  「能動的サイバー防御」導入に向けた関連法案は衆議院の本会議を通過し、参議院へ送致された。この間の国会議論では本質的な問題がおざなりであることは否めない。世界中でインターネットが席巻している時代、その必要性を認めざるを得ない点はある。政府は憲法違反を犯さないよう「尊重規定」や「監理委員会」を設けるとしている。が、一方では「技術があれば不法な方法でも閲覧は可能」と答弁していることから外国・国内を問わず、すべての通信を取得できることになれば憲法21条の「通信の秘密」を侵す危険性を孕んでいる。

  また、その時々の「サイバー攻撃」への対処を理由に監視対象が拡大された場合、国民監視も強化される懸念は払しょくできない。そして、行き着く先は労働組合や市民団体を取り締まる側の監視は合法化され、公権力からの監視の範囲は拡大され組合運動・市民運動の萎縮、弾圧が常態化する監視者社会が生み出されることになりはしないか。国会での「熟議」を強く求める。                           H.S