最近、高野孟氏の講演で「理念力」という言葉を聞く。すぐに浮かんだのは「憲法9条」だった。悲惨な大戦から世界に類のない「戦争を放棄」(絶対平和主義)するという理念である。同時に、この理念を実現する努力が問われた。しかし、為政者は既成事実を積み上げて無力化を策した。戦後は、この「理念の破壊」と「9条を守り広める」の闘いの歴史だった。
最近のウクライナ・ロシア、イスラエル・パレスチナの戦争に直面した時、日本は世界に「憲法9条」を掲げて呼びかけることなく、ただ戦争国家・アメリカに追随しただけだった。「戦争は始まったら止められない、武力では解決しない(武器を売って儲けている奴らがいる)」ことが分かったにかかわらず。逆に言えば、「戦争を放棄」する理念をもつ日本の存在価値も危うくなった。為政者の「理念破壊」の歴史は理念なき政治・政治家づくりでもある。現状維持(米国追従)だけの政治が横行し、自然・生活破壊が進む中で、日本「将来像」が見えてこない。しかし「戦争をさせない」闘いはなくなっているわけではない。
私たちは憲法9条「戦争の放棄」・人類の理念を自らのものとして、憲法9条を守り広める闘い、「なすべき事」をやり続けるしかないのである。
T.I