「アンパンマン」の作者であるやなせたかし氏をモデルとした朝の連続テレビ小説「あんぱん」は、やなせ氏が「逆転のない正義」を描くまでの史実にもとづいている。現在進行中の物語では、時代は戦前から戦中へと移り、あたりまえの日常が失われ、軍国主義一色へと移り変っていく時代が描かれている。多くの若者が徴兵され、将来の夢を奪われ戦争の犠牲となっていく。「何のために生きるのか」という問いかけが、一話ごとに胸に迫る。
戦後80年、いま日本は「新たな戦前」へと向かっている。令和の米騒動や物価の高騰という生活苦のなかで、他国からの侵攻を口実とした防衛力が強化され、排外主義的な権力者の牛耳る世界政治の混迷にたいする不安が醸成されている。戦前と同じような社会情勢のなかで、新たな戦前になることを食い止めるためにも、私たちはさまざまなメディアから流布される情報をうのみにするのではなく、「真実」を見極めていかなければならないと思う。 R.Y