1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)であった一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審判決公判で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は9月26日、無罪を言い渡した。袴田さんは死刑確定から再審無罪まで44年経過している。その長い年月の間、袴田さんは死刑囚として収容され続け、人生を奪われ、心に深い傷を負った。その苦しみは計り知れないものがある。検察は一貫して「有罪ありき」の姿勢を崩さず悪あがきしてきたことを猛省し、「無罪判決」を真摯に受けとめるべきである。そして控訴を断念し一刻も早く袴田さんの無実・無罪の確定を認め、速やかに謝罪の意思を表すべきである。
現在、日本の刑事司法の多くは「有罪ありき」のシナリオに沿って進められ、えん罪事件の温床となっている。えん罪・戦争は国家による最大の犯罪である。そして、公権力によって何の罪を犯していない人が、誤った捜査・裁判によって基本的人権を奪われ塗炭の苦しみに喘いでいる。さらに最悪な事態は死刑判決によって生命(いのち)をも奪われるのである。検察・警察・裁判所によって人間の生命・尊厳を奪われることがあってはならない。9条連は「えん罪犠牲者」を早期に救済するために「再審法」の改正を一刻も早く実現させなければならない。
今後も9条連は多くの仲間の皆さんと固く連帯し、えん罪事件を撲滅させ、平和・人権・民主主義を守り抜くため奮闘していくものである。
2024年9月27日
憲法9条 ― 世界へ未来へ 連絡会(9条連)